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16. 飲み込む言葉

Penulis: 月城 友麻
last update Terakhir Diperbarui: 2025-11-05 11:27:24

 ぐぁぁぁぁ!

 ついに両腕を失った|筋鬼猿王《バッフガイバブーン》は絶望の悲鳴を上げる。

 飛びのいたソリスは肩で息をしながら、絶望の淵に立つ|筋鬼猿王《バッフガイバブーン》を見つめた。

 |筋鬼猿王《バッフガイバブーン》は砕けた両腕をだらんとたらしながら、うつろな目で宙を見上げている。

 胸を狙っていれば|筋鬼猿王《バッフガイバブーン》が勝っていたはずだった。|筋鬼猿王《バッフガイバブーン》は『なぜ顔など狙ってしまったのか……?』と、最後の最後で慢心があったことに悔やんでも悔やみきれず、ギリッと奥歯を鳴らし、さめざめと涙をこぼした。

 ソリスは、すっかりワンピースみたいに長くなってしまったチュニックのすそをたくし上げ、結んだ。

「さぁ、そろそろエンディングにさせて……」

 |筋鬼猿王《バッフガイバブーン》に向けてファイティングポーズをとるソリス。勝利は確信しているものの、慣れない子供姿に心中穏やかでなかったのだ。

 |筋鬼猿王《バッフガイバブーン》は絶望の笑みを浮かべながらソリスを見る。

「お前……、この世界のモンじゃねーだろ……」

 は……?

 ソリスは何を言われたのか分からなかった。自分は孤児として孤児院に育ち、冒険者になった、れっきとしたこの世界の人間である。

「こぶしを交えてわかった。お前にはこの世界の者にはない、訳わからない情念がある。この世界の人間ってのはもっとシンプルなんだよ」

「シ、シンプル……?」

 ゴスロリ少女には『女神と会ったはず』と言われ、|筋鬼猿王《バッフガイバブーン》には『この世界の者ではない』と言われる。一体これはどういうことなのだろう? と、ソリスは渋い顔をして首をひねった。

「まあいい、お前の勝ちだ。このザマじゃもはや勝負にならん。また、鍛えなおしだ」

 |筋鬼猿王《バッフガイバブーン》はため息をつき、首を振った。

「悪いね

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